名のない足跡


でも、どうして。


どうしてライトなの?



一番近くにいたのに。


大好きだったのに。



それでもライトは今、あたしとは違う道を選んだ。



「これが俺の運命なんです」



その言葉からは、ライトの感情は読みとれなかった。


…運命。


それじゃあ、あたしとライトが出逢ったのは、一体何のためなの?


こんな運命だなんて、思いたくないよ、ライト。


「…父の野望が失敗に終わった今、あなたのもとにはいれません」


それは、きっぱりとした別れの挨拶だった。


「…何で?失敗だもの。ライトはもう命令に従う必要はないでしょ?」


「俺はウェルス国の人間であり、王子なんです」


「それが何だっていうの?」


なおもすがりつくあたしとはの目を、ライトはちゃんと見てくれなかった。


そのことに腹が立って、ライトに問いかける。