あなたが いたから。



あなたがいたから笑えた。


あなたがいたから泣けた。


あなたがいたから頑張れた。



あなたがいなかったら


きっとあたしは ここにいない。


なのに…



「……ライト?」



今、あたしの目の前にいるのは…誰?


「何ですか?今更、王冠を返せ、とでも?」


「………」


口調は、変わらない。


でも、突き刺すような鋭い眼差し。



知らない。


こんな冷たい瞳を…


あたしは、知らない。



「あなたは…誰?」



そのまま口をついて出た言葉を聞いて、ライトはその瞳を細めた。


「俺ですか?ライトですよ。ライト=ディアン」


「…嘘」


「嘘じゃありません。ただ…肩書きはまだ、言ってませんね」


「肩…書き?」


虚ろな目で、ライトを見る。


体の震えが、おさまることはない。


そうです、と言って、ライトは窓へ歩み寄り、こっちを振り返った。



暗い闇と、ライトが重なる。



「ウェルス国第二王子…ライト=ディアン」