「うっ…ううっ…何でこんなことに…父様ぁ…」


「いやぁ、見てて面白いです。姫様。あっ、王様?」


「嫌―!! 王様なんて呼ばないでッ!! ってかライト、何で反対してくれなかったの!!」


頭を抱え込みつつ、キッと睨むあたしに、ライトは驚きの表情を見せる。


「反対ですか?俺が?むしろ大賛成ですが」


「大ッ…!? あんた、どっからそんな意見が」


「面白いじゃないですか。十七歳の姫が天下統一!! マンガみたいで」


「…あんたの根拠は面白いかどうかなのね…」


もう怒る気すらないあたしは、さっきまで眠っていたベッドに再び沈み込む。


高い天井を仰いで、手を伸ばす。


掴めるものは、空気以外何もない。


「…あたしね、国のお姫様って、周りからちやほやされて、おいしいご馳走食べて、いっぱい寝て、たくさん遊んで…将来はどっかの大金持ちの王子様と結婚するものだって、小さい頃からずっと思ってた」


「…普通はそうなのかもしれませんね」


ポツリと話し始めたあたしに、ライトはからかったりせず、真面目に返してくれた。


その気遣いが、あたしには嬉しかった。