名のない足跡


「…姫様、地下は俺が兵を配置しておきましたよ?」


「うん。…でも、あたしが行かなくちゃ」


ウィリー王に場所がバレている以上、最も危険なのは、地下。


だから、王冠と…呪文を確保しなくちゃ。


きっとそれは、あたしにしか出来ない。



一階の渡り廊下に出ると、右方向からたくさんの軍隊が押し寄せて来た。


ライトとアズロが反応して、瞬時にあたしを庇う。



…でも、そこにいたのは。


「ルチル!!」


「…アルファ!? ジークもっ!?」


アルファとジークが駆け寄って来た。


あたしは状況がつかめず、ただ慌てた。


「えっ…何で!?」


「フォーサス国が危機的状況だと、さっき聞いてな、軍を割いて連れてきたんだ」


アルファがザッと後ろを振り返り、自分の軍に命令を下す。


「フォーサス国軍に加勢だ!行けっ!!」


「サヴァ国軍に続け、ネスタ国軍!!」


アルファに続くジークの命令の後、両国軍は一斉に敬礼をし、去っていった。