兄様の作戦を成功させるには、まず演技力が必要だった。


少しでも誰かに怪しまれたら、そこでアウト。



演技なんてしたこともないあたしには、何とも難しい課題。


でも、この先のいろんな人の未来がかかってるんだもの。



やってやろーじゃぁないの!!



気合いを入れたあたしは、兄様と目配せし合う。


執務室から出たあたしは、すぐに伝令部に伝言を頼み、各部の長、副長+アゲートさん、ウィンに会議室に集まってもらった。



そして今から、作戦が始まる。


「皆様、集まって下さりありがとうございます。…実は先ほど、兄・ラッドから、ある真実を聞きました」


あたしは神妙な面もちで、静かに話し始める。


これは、緊迫感をもたせるための演技。


実際、部屋にいた誰もが(兄様とあたし以外)、ごくりと喉を鳴らした。



うん、なかなかやるじゃない。あたし。