父様が背負っていた運命は、今、あたしが背負っているんだ。


神様を、呪いたくなった。


「これからずっと…周りの人たちを、疑ってくの?いつか、その呪文を知っちゃうことを、怯えながら過ごすの?知った時…あたしは、死ぬべきなの?」


「…っ、馬鹿言うな!!」


兄様が、あたしの肩をつかんで揺する。


「お前までいなくなったら、俺は耐えられない!! …そうはさせない。ルチル、これからある作戦を話す」


「…作戦?」


「そうだ。…きっともう、これしか方法はない。…覚悟はあるか?」


あたしは、ゆっくり、そして小さく頷いた。


もう失いたくない。


それが、何であっても。



兄様は、その作戦をあたしに打ち明けた。


あたしはただ、それを黙って聞いていた。


最後に兄様は、こう締めくくった。


「…いいかルチル、今日話したことは、誰にも言うなよ」


「誰にも…?」


「そう。ライトにも、だ」


あたしの心の内を見透かしてか、兄様は厳しい顔つきで言った。


あたしは、しぶしぶと頷いた。