カタン、と小さく音を立てて、アズロがその場にしゃがみこんだ。


あたしも慌てて、アズロの横にしゃがみこむ。


「ど、どうしたの!?具合がっ…」


「オレにもさ、」


そう言いながらアズロは、ゆっくりとあたしを見る。


この時あたしは、アズロの瞳ってこんなに綺麗なんだ、とぼんやり思った。


「…オレにもさ、出来るかな」


「…何を?」


「………努力」


恥ずかしそうに言うアズロの頭を、あたしは精一杯の笑顔で撫でた。



「…うんっ!! 出来るよ!!」



和んだその場の雰囲気は、次にアズロが口に出した言葉で、緊張へと変わった。


「…その前に、言わなきゃいけないコトがあるんだよね」


「えっ…何?」


アズロは一瞬目を反らし、またあたしと向き合って、はっきりと言った。



「オレ、ウィリー国王に君を殺せって命じられた、暗殺者なんだよね」



急な突風に煽られた木々から、真紅の葉が一枚、静かに地面に溶けた。