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俺は、崩れ落ちる姫様の体を、とっさに支えた。
「気を、失ってしまいました」
俺は、自分の腕の中で気を失っている姫様を見た。
王妃様に加え、王様まで亡くしてしまった…
「…無理もないでしょう。お父様を亡くしてしまったのだから」
書籍部のセドニー長官が苦い顔で言った。
続いて戦闘部のデュモル隊長が、落ち着いた口振りで、アゲートさんに問いかける。
「死因は何なんだ?事故死か、病死か?それとも…殺人?」
「国王様は…ご自分で命をお断ちになられました」
―――じ、自殺!?
ざわ、と空気が揺れた。
一国の王が、何故自殺など。そもそも…
「何故自殺だとわかるのです、アゲート様」
セドニー長官に不審な目つきを向けられ、アゲートさんは慌てて言った。
「嘘などではありませぬ!昨晩、国王様は私を地下室へお呼びになったのです!」
アゲートさんの言い分は、こうだ。
もともと、国王には魔力があった。
なので、国王は何かあると必ず魔法で自分と連絡をとる。
昨晩も、魔法による伝言が自分に届けられた。
今すぐ地下室の宝庫へ来てくれ、その後のことはお前に任せる、と。


