―――嫌だ、嫌だ、嫌だっ…。



自然に、涙が頬を伝う。


こんな気持ちになるなんて、嫌だっ…。


あたしにだってわかった。



これは、嫉妬だ。




あたしは―――――…



勢いよく執務室の扉を開けると、そこにはまだウィンがいた。


ウィンは、あたしを見ると、目を丸くして言った。


「…おい、何泣いて…」


あたしはウィンに近付いて、手を握りしめ拳をつくり、ウィンの胸のあたりを叩いた。


「ウィンがっ…、ウィンがいけないんだからっ…!!」


叫びながら、何度も何度もウィンを叩く。


「ウィンがあんなこと言うからっ…、あんな気持ちになるんじゃない…!ライトが誰かに笑いかけるだけで、胸が苦しくなるんじゃない…!!」


涙は止まることなく溢れ出て、視界がぼやける。


気づいてしまった。



―――あたしは、ライトが好きなんだ。



「こんな気持ちになりたくなかったのに…!なのに、ウィンがっ…!!」


絶えず動かしていた手を止め、あたしはうつむいた。


こんな気持ちになるんなら…。



「…気づきたくなかったっ…」