「…は!? そこまで言ってねぇし。俺はただ、護衛以外のことはしなくてもいいんじゃないかって言いたかっただけだ」


「…つまり、あまり姫様に関わるなーってことですか?」


「だからっ、さっきから何言ってー…」


そこで、ウィンは何かに気づいたように口をつぐんだ。


まじまじと俺の顔を見て言う。


「…あんた、もしかして…俺があいつのことを、とか思ってんのか?」


「違うんですか?」


あっさりと問う俺に、ウィンは半ば呆れたように頭を片手でかいた。


「そういうあんたは、どうなんだよ」


「…俺ですか?」


はぐらかしたなぁ、と心の中で笑ってから、一拍置いて、口を開く。



「ありませんよ。…特別な感情は」



口に出してから、心の奥底で何かが疼いた。


けど俺は、気づかないフリをし、その感情を確かめようとはしなかった。


「…ふーん」


納得したような、してないような顔で、ウィンが答えた。


俺は笑ってウィンに言う。


「ウィンが姫様の補佐になってくれて、よかったです」


するとウィンは、明らかに面食らった顔をした。


彼にしては珍しい表情だ。