甘く、温かいドリンク

止まらない涙、ぐちゃぐちゃの泣き顔をごまかすために、人の少ない道をしばらく歩いた。

もう暗い公園でしばらく休んだりして過ごし、そして気づいたら君との思い出のある場所を回っていた。


よりによって、こんなに君との思い出の多い駅で降りてしまうなんて。


酔っぱらって大声で歌う君をたしなめながら歩いた住宅街、飲んだ後に向かうラブホテルへの裏路地、一度だけ君を連れて行ったお気に入りの隠れ家バー。

どんなに考えてもだめだった。
なぜなのか、誰か教えてほしい。一緒にいても、ほとんど幸せなことなんかないのに、なぜ私はこんなに君を愛しているのか?

叫びたかった。きっとこの先も、どこにも残らない、君への私の愛の大きさを、大声で発散したかった。


声なんかでなかった。

私は、うずくまって泣いた。

ここは、手に入らない君を嫌うこともできない、幸福に見せかけた、愛という名の地獄だ。