甘く、温かいドリンク

君の車から私は降りて、再び車を走らせながら私に手をふる君に答える。

君の車のテールランプが見えなくなるまで見送って、ため息をつきながら家のドアを開ける。

今頃どうしているだろうと想像しながら、一人布団へもぐりこむ。



会った次の日というのは、寂しいものだ。
一緒にいた時間が幸せだと思っている証拠なのだろう。
昨日の幸せと今日の現実。

だけど君にそんなことはわからない。
昨日私に時間を使ったから、今日は仕事に集中しよう。そういう人だ。

仕事にストイックすぎて苦しんでいく君。そのストイックさが、魅力の一つである。
だけど、そのせいで私も苦しんでいる、ということもまた事実。
けれど、仕事の邪魔をするような浅はかな女になり下がりたくはない。
どんなに病的に会いたくても、君の仕事の邪魔になってしまうのなら、我慢するしかない。

自分の美学でもあるし、自己満足でもあるし、奉仕のひとつでもある。とても複雑な感情の入り混じった我慢だ。
この我慢が積もり積もると、爆発する。
見苦しいほどに爆発する。
会えない、寂しい、みじめ、もう愛していないんだろう!?
ののしり、決めつけ、自分でも嫌になるような、女特有の間抜けなヒステリーを起こすのだ。
その正体は、いつも簡単なこと。
愛されていないかもしれないという不安。その不安を解消して安心したいだけなのに、渦中にいれば何もわからず視界は悪く、いかに君がひどいかを訴えるのだ。

そしていつも通り喧嘩する。君にはなにが起きているかわからない。説明しても伝わらない。
なぜ共存しなければいけないはずの男と女という生き物が、こんなにも相いれない構造になっているのか疑問に思うほどわかりあえない。