茶髪で茶色い瞳、全体的に色素が薄く、
とても整っている顔をこちらに向けると、
「明日は休むから」と言って再び仕事にもどる。
「それでも、もうお掃除はいいわよ。
片付けてきて、私の相手をしてちょうだい」
それをきいたマスターは苦笑した。
「おいおい、勝手にアズを扱うなよ。
…まぁ確かにもう十分綺麗になったよ。
ありがとな、アズ。片付けておいで」
アズは、小さくお辞儀をすると、用具入れのロッカーへと向かっていった。
「あの子、ウイスキーよね確か。それもお願いマスター」
「未成年に酒を飲ませるなよ…」
「あら、私もアズと同い年よ」
「そうだったか?
お前は……また違うだろ」
なにそれ、と私は笑うと、
真っ赤な花束をその場に置き、髪を解いた。
柔い黒髪が肩に、腰に落ちる。
片手で髪をかきあげ、片手でタバコを取り出した。