「確かではないけど、
トキさん、
ヤバい奴に目を付けられたかもしれないんだ」
レンは、もう一つ声のトーンを落としていった。
「…あの人も、十分にヤバい人だと思うけど」
昔の記憶が一瞬、蘇ったが、レンの一言でかき消された。
「____」
「まさか」
「あぁ。本当だったら、ガチでヤバい」
まさか。そんな馬鹿な。
「…このこと知っている奴は?」
「お前、ゲンさん、マスター。」
「…カンナには知られないようにしないと」
「どのみち知ることになるがな」
わずかな沈黙のあと、
マスターが「さっさとしろ!」とカウンターから声を張り上げてきたので、
2人は静々と用意を終わらせ、席へと向かった。