「…トキさんからは、まだ?」
レンが声を落としてアズにきく。
「あぁ。何の音沙汰もない」
「いなくなって、どれくらい経った?」
「…4、5ヶ月か」
レンは、少し間を空けてから、小さくため息をついた。
「…もう、そんなに経つんだな」
そうだ。
トキさんが姿を消してから、もう半年近くも経つのだ。
「…カズラさんは?」
「同じく、音沙汰ないよ。
まぁ、姉貴は大丈夫だ。」
カズラは、弟と同じく、黒髪で長身の、骨格から整った、レンの姉だ。
隠密行動と情報収集がずば抜けており、
更に腕っ節も立つので、
トキの右腕として、常に彼と行動を共にしている。
「どこかのシマ争いにしては、やけに長い」
レンは乾いた声で言いながら、
カッターシャツを脱ぎ、引き締まった上半身を露わにした。
「あぁ」
アズも上着を脱ぐ。
生々しい昔の傷痕と、無駄のない筋肉。
レンは見慣れており、顔色を一つも変えなかった。


