「…お前の、その義理硬さには頭下がるよ、まったく。 何もしてねぇ、のは信じてるよ。 念のための確認さ。」 マスターは、感心と呆れの入り混じったため息をつく。 そして、再び手を動かしながら続けて、 「これは人生の先輩としての意見だが」と 空鶴の方を見て眉を上げた。 「人様に、何でも捧げるような生き方ばかりすんなよ。」 「別に、捧げていませんよ」 空鶴は視線を落とす。 「もっと自分を大事にしろ」 結局はそれを言いたかったのかとわかり、 空鶴は軽く頭を下げてから仕事に戻った。