目は閉じられたままだ。


黒い髪が波打つようにシーツに広がる。


胸元がはだけ、柔らかそうな谷間が見えた。


足元の裾が上がり、すらりとした白い脚が太ももまでみえる。


「ん……」


赤い唇から寝息が溢(こぼ)れた。



……寝ていてもこの色気かよ



アズは僅かに苦笑する。


マスターは、今まで、これを目の当たりにして手を出さなかったのか。



詳しくは知らないが、カンナは実の父親に暴行されていたらしい。


それを受けて、マスターはカンナには、絶対的に安心できる大人として接しているのだろう。