マスターは、じゃあお願いするわ、と言って、
カンナの住所と簡単な略地図をかいてくれた。
「俺はまだカウンターの片付けやらが残っているから、頼んだ。
わかっているだろうが、襲うなよ?
まぁ、そこらは信頼してるけどな」
アズは地図を受け取り、礼をいってから「わかっています」といった。
ポケットの中の車のキーを確認してから、彼女に近づく。
既に規則正しい寝息を立てている彼女をゆっくりと抱き上げ、
その肢体の軽さと柔らかさに驚きつつ、マスターに挨拶をして、駐車場に向かった。
吐息がアズの首元にかかる。
熱を帯びたその身体は、香りを放つ。
優しい香りだった。
車の後部座席にのせて、そっと額に手をあてる。
熱い。酒の火照りだと信じるが、それにしても熱い。