アハト

『おはよう』

白いベッドは答えない。

オトコは夢をみた。
初めてみたのかと思い違える程ひさしくあたたかな夢だった。

だかオトコはいつもの日常を始める。
紅い樹の下に赤いすずらんが咲いていた。

オトコはいつものカゴを手にいつもの道を帰った。

部屋に帰って左目になにかを感じた。

カゴを持つ右手の反対にあの赤いすずらんがあった。

オトコはそれを机に置きいつもの食事をとった。

パンも窓の外も昨日の事など忘れている。
ただ白い机に赤いすずらんはたしかにあった。