「あ、ひな兄お帰りー」
食卓に行くと、子供たちが寄ってくる。
「おい、ひな兄てゆーな」
「ちぇー」「女ぽくて良いじゃん」「俺は男だ」「ひなた、外見だけはガラ悪ーもんな」「中身ヘボいけど」
口ぐちに俺を置いて、俺の悪口なのだろうか、評価なのだろうか、ずいぶん勝手に言ってくれるじゃねぇか。
こんなのは無視するのが一番いいんだ。
関わってたら、似たような言い争いで一日を終わらせるはめになるからな。
「あれ、晴は?」
「成宮は燿さんとケンカしてる。長くなるかもしれないから、先に食べとこ」
「うん」「さーんせ」「あいつらいっつもケンカしてんのな」「仲良いからな」「というか短気?」「いや、晴も燿さんも気は長い」「気が短いのはひなただろ」
………………。
「いただきまーす」
ひときわ大きい声で言うと、
「いただきます」「…」「いただきー」「いただきます」
話題があっという間に終わり、
「そう言えば、今金融やべーんだろ」「○メ○カとか」「俺売られないよな」「は、お前ひとり売ったところで世界は救えねーよ」「…マジかー」
ませた会話に変わった。
まったく、なんでこいつらはニュースを良く見るんだよ。
チビなんだからチビらしくアニメとかでも見てりゃあいいのに。
成宮が前にぼやいていた。
「あ、そーいえば圭さんいねーの?」
いま思い出したように、子供たちに聞いた。
「圭ネエだったら、今日はデート、だっっけ」
「違うよ。里帰り中。…確か圭ネエのお母さんの誕生日だからって。明日の夕方には帰ってくるって言ってたよ」
「…ちっ、もっと長くいてもいいのに」
ボヤくと、
「はは、圭ネエには逆らえないもんね。ひなたは勿論、晴も燿さんも、圭ネエの尻に敷かれてるもんなー」
笑いながら言われた。
くそ、うざい。マジうざい。
ガキのくせに、マセすぎだろ。
