近い距離に耐え切れず、目をぎゅっと閉じた瞬間、イケメンが変な声を出して笑い出した。
純情ぶってる、ってなに!?ひどっ
…って、「ブハッ」?
聞いたことのある、癖のある笑い方。
なんだか記憶にある、整った顔と黒い髪。
そして私を二葉と呼ぶくらい私のことを知っている…
「…まさか、貝斗!!?!!?」
「大せいかーい。
久しぶり、二葉。元気にしてた?」
クスッと笑う、目の前の男の子。
これがまさか、あの弱くていじめられっ子だった貝斗だっていうの!?
貝斗、こと雪染 貝斗とは生まれた頃から母親が友達で仲の良い俗に言う幼馴染ってやつだ。
でも目の前にいるこのイケメンが貝斗なはずがない。だって、貝斗は中学に入る前、お父さんの転勤で地方に行ってしまったというのに。
「戻ってきたんだよ、
今度も父さんの転勤で。」
「わ、私が疑問に思ってたこと、なんで!?
エスパー!?」
「顔に思ってること全部出てるとこも変わんないな、二葉。」
動揺しまくりな私と真逆な、
楽しそうな貝斗。
私より小さくて、弱くて、眼鏡だってかけてたのに……イケメンに大変身しすぎでしょ!
