結局、パンを咥えながら登校したけどイケメンには出会えなかった…


校門には大きく【入学式】と書かれている。本当に私、高校生になるんだなぁ…!


いままでなかなか湧かなかった実感が沸々と湧いてきて、ドキドキが止まらない。


友達たくさんつくって、好きな人を作って、片思いをしたり、彼氏ができたり…そんな楽しい青春がこの先にある!


しつこいけど、そんな大きな期待を持ちながら校門を通り抜けるて、ピシッと背中を伸ばしながら事前に配られたプリントで知った自分のクラスの下駄箱に向かう。


高校一年五組…あった!
えっと、私の靴入れの場所は…




「…フタバ?」


突然心地よい低い声が私のと同じ名前を呼んで
勝手に体が跳ねる。


よかった…危うく返事しちゃうところだった。


この学校で友達はできていないし、そもそもこんな低い声を持つ男の子の知り合いなんていない。

つまり私を呼んでいるわけではないわけで…



「フタバ、だよな?聞いてる?」



うん、私じゃないから人違いで反応しちゃった人なんて恥ずかしいわけで…



「おい、二葉、無視してんの?」



ぽんっ


と大きな手が私の肩に触れた。



…って


「ひぇえええ!?」