彼らは生まれた時分より「家畜」として生きて居る。
本人達は知らないだろうが…。
私は、もしかしたら彼らは「死」と言うものを知らないのではないか…と思う。

大きくなり、丸々としてくると、皆車でどこかへ連れて行かれる。
その先には「死」があり、解体され、食肉として加工されるとは露ほども考えず、
ただ競い合うように草を食らい、丸々と太って行くのだ。

あぁ、何と悲しい事であろうか。

そして儚く、ある種、美しささえ感じてしまう。


彼らは、ただもくもくと生きて居る。

そんな彼らを眺めて居るのは、私にとって至福の時であった。