tear drops―人魚の住む街―



結局海理が教室に帰ってきたのは授業が終わった後だった
他のグループのメンバーに色々言われたが知らぬ存ぜぬを貫いた

そして放課後、海理は普段通り速攻帰ろうと支度を整えると教室を出る
しかし、出口に界人と直緒が待機しており界人には腕を組まれ直緒には腰にホールドされるという昨日まででは有り得ない状況に陥った

「つっかまーえた!」

「へへっ逃がさないからな!」

「何だよ。離せ。」

「「やーだー」」

「イラッと来た。殴らせろ」

「離したら海理逃げるじゃん!」

「今日一緒に寄り道して帰ろってお誘いしようとしてたの!」

「は?」

「さぁさ、行こ行こ」

「レッツゴー!」

「離せ!おい!」

廊下にはまだそれなりに人がおり何事かと彼等を見ているものは少なくない
正直物凄く恥ずかしい
ひっそりぼっちで生活してたかったのに何故、と海理は頭を痛めた

連行されて来たのは全国チェーン店であるファーストフード店だった

いそいそと席に座り界人は海理にスマホを向けた

「折角なんだから連絡先交換しよ」

「あ、僕も!」

「何で…」

「えーいいじゃんいいじゃんちょっと位」

「お願い海理!」

「チッ」

文句を言いながらもスマホを出す海理も甘いというか何と言うか。

用事はこれだけなのだろうから早々に終わらせて帰りたい、というのが本心なのだろう

だが、その予想を反して2人はその後も居座るつもりでいた
帰ると言って席を立つと腕を引かれ行くなと言われる

めんどくさい

その一言につきた