疑問を持ちながらも入学式から2週間程たった頃
学校の方針で交流学習という名の宿泊学習が行われるということを知らされた
場所は学校からほど近い海沿いの宿泊施設
仲を深める為だということでそこでの行動は全てグループ活動で行われるらしい。
この時まだ海理には友人という友人がおらず唯一話しをした事のあるのは夏奈だけ
ぼっち確定だな、と人事のように考えていると前の席の夏奈がぐりん、と勢いよく後ろを向いた
「ねぇ海理くん。一緒のグループになろうよ」
「は?」
「だって海理くん友達いないでしょ」
「…」
否定は出来ない。
出来ないが何故ここまで構ってくるのか理解が出来なかった
1人で後のメンバーどうしようか、と騒いでいる夏奈を横目に小さく溜息をつく
「ね、ここまだグループ出来てないよね?俺も入れてくんね?」
突然背後から声がした
振り返ると金髪のキラキラした男が立っている
「俺、櫻井界人【サクライ カイト】っていうんだ。お前と話してみたくって」
にこにこと笑顔でそう言う界人は海理をじっと見つめた
「海理くんさ、いっつも1人じゃん?俺スゲー話してみたかったんだよね!」
どこのホストだこいつは
海理が最初に思ったのはそれだった
金髪でイケメンと呼ばれる部類に入るであろうその顔、ピアスをつけているのもまた似合う
そしてデカい180はあるのではないだろうか
腹立たしいことに全て文句のつけ所がない
「グループはまだ出来ていない。入りたければ入れば?」
「マジで!?やった!俺マジで話してみたくってさー!折角だから仲良くしてね」
「気が向いたら」
「ひっど!」
そう笑ってる顔を見てコイツはホントに何なんだ、と夏奈を見る
彼女も少し困った顔をしているがグループに入ることに異論はないのだろう
残り2人だねー、と辺りを見回していた
そしてある1点を見つめると突然おーい、と手を降り出した
それに気づいて手を軽く振り返したのは黒髪の女子生徒だ
ゆっくりとこちらのグループに近づいてくる
「なに、夏奈」
「ね、みっちゃん!同じグループになんない?」
「別にいいけど。そっちの2人は?」
「海理くんと界人くん。」
「ふぅん。話すの初めてよね。私、二階堂美里【ニカイドウ ミサト】よろしく」
「…清水海理」
「櫻井界人でっす!」
なるほど、美人だ。
黒髪背中まである髪は綺麗に手入れされているし目はパッチりしている。女優か何かになれそうな顔だ
何よりスタイルがいいスラリとした身長は170あるのでは、と思う程に高い
夏奈は身長は小さく髪の毛は茶色でボブだし顔の系統は明らかに綺麗より可愛い部類だ
ハムスターみたいだ、と思ったのは本人に黙っておこう
「これで4人決まった!後1人どうしよう…」
周りを見るとあらかたグループは決まったようでみな各々固まって話しをしている
「すみません!僕余っちゃって!グループ混ぜて貰うのって可能ですか?」
4人ぎくしゃくしながらももう1人どうしようか、と話しをしていると身長150くらいの男子生徒が話しかけてきた
「いきなりごめんなさい。難しいかな…?」
「いやいや全然!むしろ大歓迎!」
「ホント?僕、兎塚直緒【トツカ ナオ】って言います!よろしく!」
「こちらこそ!」
直緒は焦げ茶の髪の毛をふよふよさせながら夏奈と共に話しをしている
海理はハムスターが増えた、と肘をつきながらその様子を眺めているのだった
