「あいつらは、そこまでバカじゃない。真偽を見極める」



「やっぱり、一色少佐でも藤崎少佐を騙せないですか。情報操作で成り上がってきた少佐が情けない」



「……喜楽」



 冷たい視線を投げかけると、喜楽はおや?っと愉快に惚けて見せた。



「本当のことじゃないですか。裏切って、血に染まって、善意も悪意も何でも利用してきたのは一色少佐でしょ?僕を睨むのは筋違いです」



 別に、後悔などしていない。


 最悪の中で、最善の道を選んで来た。


 ただ、喜楽の笑顔が俺を侮蔑しているようで気に障っただけ。



「でも、一色少佐は手温いです。如月大尉のことを思いやるばかりに。そのせいで、彼女が危険に晒されたらどうするんです?」



「……そこまで言うなら、何か手を打ったんだろうな?」



 俺の補佐官ではあるが、俺の命令外で好きに動けるようにしていたのは俺自身。


 こいつの能力を最大限活用するために。



「いいえ!僕は何もしてません」



 堂々と言ってのける喜楽の次の言葉を待つ。


 陽気で嘲る声にただ耳を傾ける。


















「でも、津上少佐が一色少佐のために色好い情報を流してくれてますよ」



 懐からフロッピーを取り出すと、俺に向かって投げる。


 クルクルと回るその物体を手で受け取るが、視線は喜楽に向けたまま。



「サラ?どういうことだ?」



「少佐が思っている通りですよ。津上少佐は反乱軍の内通者です」



 驚きと呆れで、言葉をつぐんだ。