「……冬馬。お前、一体何を考えてやがる。サラはお前の恋人だろ!?銃を引け」



「俺に銃を向けながら、良く言えるな」



「ユエだって、現状を知ったらこっちにつく。そういうやつだ。お前が一番わかってるはず……」



「あいつの名前をこれ以上出すな。お前も死にたいのか?」



 サラから目を逸らさず、もう一つの銃を藤崎の眉間に押し付けたままに言う。


 もしも、サラを撃つようなら藤崎は迷いなく俺の頭に銃を撃ち込む。


 それでも、サラがこうして俺の目の前に立っていることが許せない。


 息の根を止めてさえ、この怒りが沈むとは思えなかった。


 彼女は荒い息遣いの中で苦痛で伏せていた目を俺へと向ける。


 深い翡翠の瞳が揺れていた。

















「そんなにまで、あの子を愛しているの?彼女に危険を冒させようとした私を殺すくらいに、あの子を愛しているの?」



 血まみれの腕を押さえながら銃を持つサラの目から涙が留めなく落ちていく。


 この女が泣く姿を見ることなどありはしないと思っていたが。


 あまりにおかしな質問に、口元が少し歪んだ。