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「お2人とも、大丈夫だったかしら……」


ひとりになったライナは、食事をしながらぽつりと呟く。

先ほど現れた騎士たちは、あの後ライナも驚くほど真剣に花を選び始めた。その様子を眺めていたら嬉しくなり、花を長持ちさせる方法や、毎日の簡単な手入れについてなど、ついあれやこれや話し込んでしまった。

その結果、いつの間にか日も暮れかけてしまっていた。我に返ると、お互いの顔が黄みを帯びた赤色に染まっている。


『そろそろ戻ろうか』


そう2人が目配せしているのを見て、ライナはハッとした。引き留めてしまったのは間違いなく自分が喋りすぎたせいだ。それなのにお金を払って花を買ってくれる彼らに申し訳なさを感じ、何かできることはないかとくるくると考える。

そうして、考えた末に思いついたことはひとつだけだった。


『あ、あの! よろしければ夕食を一緒にいかがですか』


騎士たちの来訪前にあらかた支度は終えている。運良くすぐに食事を提供することができるため、一緒にどうかと声をかけたのだが。


『そのようなこと、団長が許してくれるはずがありません』


そう頑なに拒否されて、ライナもそれ以上勧めることができなくなってしまった。きっと上司に毎日業務内容を報告しなければならないのだろう。もしこんなところで油を売っていたと知られたら、叱られてしまうかもしれない。何の力にもなれそうもないが、彼らに何かあったら出向いて謝ろうとライナは強く思った。