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「イルミスさん、今日は結局……」


幾分戸惑ったようなライナの呼びかけに、イルミスは食事の手を止めて悠然と顔を上げる。そんな彼を見たライナはハッと息を飲んで言葉を引っ込めた。


ーーなんて綺麗な目をしているのだろう。


淀みも迷いも感じられない、まっすぐな碧い瞳。ライナの気持ちや願いまでもあっさり見透かされてしまいそうだ。

それはどこか、懐かしさを伴って。


(懐かしい? そんなはずはないわ)


突如湧き出た不思議な感情に、慌てて首を振り否定をした。


「……どうしました?」

「あ……いいえ、何でもありません」


不可解な行動を見せてしまったライナは、視線を合わせることが出来ずに俯いたまま食事を続けた。


やがて食べ終えたイルミスは満足したようにライナに声をかける。


「美味しかったです。ありがとう」

「いいえ……男性には少なかったかもしれませんね」

「正直に言うと少し。……次は、私も何か持ってきましょう。またサクルがいいですか?」

「つ、次?!」


イルミスの提案に、ライナは思わず大きな声を上げた。さも当たり前のように言われたが、とんでもない発言だ。