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地面に落ちている葉を踏みしめると、カサリカサリと音を立てる。ライナはさっきからずっとそんな調子で、足元ばかり見て歩いていた。

イルミスは、今日は非番だと言っていた。
そんな貴重な休みの日にわざわざ来てくれていることに、ライナは驚きと戸惑いを隠せない。


(どうして……)


どうして、来てくれたのか。
聞いてみたいが、怖い。その質問をしたら、もう二度と来てもらえないような気がしたからだ。


「ライナ」


爪先がこちらを向いた靴が視界に入ってきて、ライナは足を踏み出すのを何とか堪えた。顔を上げると、ぶつかりそうなほど近い距離にイルミスが立っている。


「先ほどから、ひとりで歩いているようで楽しくありません」


イルミスは拗ねたような顔を見せて、ライナが隣に来ることを求めている。驚いたライナは一歩後ずさったが、すかさず腕を取られた。


「あっ、あのっ」

「……私はここに来たくて来ているんですよ。だから、貴女は何も気にしなくていい」


優しく、諭すような言い方は、ライナの胸に不思議と響いた。すーっと心が浄化されていくようだ。
そんな中、触れられている腕だけは熱を持ったように熱かった。