「こんにちは」


あの日から3日後、約束通りイルミスはやってきた。扉を開けて驚いたまま固まっているライナの顔を面白そうに眺めている。


「本当にいらしてくださったのですね……」

「約束したでしょう。私のことが信用できませんか?」

「いえ、そういう意味では! ……すみません。まだ何も準備をしていないんです」


わたわたと慌てるライナに、イルミスは優しく微笑んだ。


「構いません。予告もなく来てしまった私が悪い」

(構わない、というのはどう捉えたらいいのかしら……)


ライナは一旦家の中へ引っ込んであれこれ考えたが、客人をもてなせるような食事も、暇つぶしになるような嗜好品も持ち合わせてはいなかった。うろうろと歩き回ったところで何も出てくるものはない。


キイ、と再び扉から沈んだ顔を出す。


「あの、本当に何も用意がなくて、お待たせしてしまいます……どうしましょう」

「では、一緒にティータイムにしませんか?」


イルミスはそう言うと、持っていた包みを軽く上げて見せた。