「ーーなるほど」


話し終えるとイルミスは理解は示したが、顎に手を当てたまま難しい顔をしている。ライナは叱られた子どものように俯いたまま、言葉を待った。


「話は分かりましたが、夜中にひとりで出歩くのは駄目です。今後夜キノコを見に行くときは、私を連れていくこと。ーーいいですね?」

「……はい」


まるで保護者のように諭されたが、イルミスが一緒に見に来てくれると言ってくれたことがライナにとっては嬉しかった。


(次の月の無い夜はいつかしら)


ライナは、胸の奥に言い様のない温もりを感じていた。


「さて、そろそろ行きましょうか」


イルミスは自分の分を飲み終えた後、ライナの前に置いてあった冷めたお茶も飲み干すと、立ち上がって手を差し出す。

ライナがおそるおそるその大きな手に自分の手を重ねると、イルミスはライナの背中にもう片方の手を添えて、ゆっくりと立たせてくれた。