「あ……リンディア」


パカッと開いた丸い部分はとても小さかったが、見慣れた黄色で埋め尽くされている。ライナにはそれがリンディアの花だとすぐに分かった。


「はい。ライナが育てていたリンディアの花を平面にして乾燥させたものです」

「すごい……一体どうなっているのかしら。これを作るのは大変だったのではないですか?」


随分と不思議な細工だ。ライナがイルミスにリンディアの花を譲ったのは、もう何日も前のことになる。幾分小さくなってはいるが、鮮やかな黄色はそのまま変わっていないように見えた。


「ええ、まあ。知り合いの伝手で、保存の研究をしている方を紹介してもらいまして。……新しいことを習うのはなかなか楽しいですね」

ーー殊更、ライナに関することだと特に。


ことも無げにさらりと告げられるため、ライナはいつも心の準備が一切出来ないままだ。今だってライナのために細工を施して作った贈り物を不意打ちのように手渡され、頭が追いついていかない。


(ーーこれ、ただの鎖ではなくて、首飾りだわ!)


何拍も遅れてやっと気付いたライナは、さっと頬を染めた。


「本当ならば、もっと早くに渡したかったのですが……あの後花祭りの準備で忙しくなってしまったのと」