・・・・・

「……うん! 美味しい」


味見を終えたライナは、満足気にそう呟いた。

家に戻ったライナが真剣にスープ作りに取り組んでから、どのくらい経ったことだろう。
合間に花の世話や野菜の収穫もしていたため、外はすっかり暗くなってしまっている。

今夜はサラダとスープの他に、食後のお茶とお菓子までばっちり用意してある。セーラがおまけしてくれた品物の中にあったものだ。美味しそうな焼き菓子を見つけたライナは、食後のひとときも楽しみのひとつとなった。

ふんふんと機嫌良く鼻歌を歌いながら食器を並べ、サラダを盛り付ける。準備は完璧だ。スープはイルミスが来てからよそうため、温かいまま提供できるだろう。

そして、テーブルの中央には空き瓶を利用したパンデルフィーの一輪挿しを飾った。今日の花畑の中で、一際綺麗に咲いていたものだ。ライナはしばらくそれを見つめていたが、昨夜のイルミスがしてくれた話を思い出し、ほんのり頬を染めはにかんでいる。

時が経つにつれてじわじわと伝わってくるその思いは、ライナをふにゃふにゃに溶かしてしまいそうだ。


(いけない! 私ったらぼうっとして)


そうしてようやく正気に戻り、次の準備をしようと器を手にする。


(あら? これには何を入れようとしていたんだっけ)


少し大きめのその器を見下ろして固まること数秒。


「ーーああっ!」