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ライナはいつもより少しだけ多めに採ったキノコを袋に入れる。しばらく来ていなかったことが良かったのか、美味しそうな大振りのキノコが沢山育っていた。


「少し、分けてね」


ライナは残ったキノコの傘を撫でながら呟く。

その近くには、夜キノコが自生している。昼間はひっそりと佇み、夜とは全く違う顔を見せていた。これが夜になると見事に光り輝くのだから、不思議なものだ。


「いつかイルミスさんと見に来られたら……」


2人でこの夜キノコを見に出かけることを想像して、まるで恋人同士のデートのようだとライナは思った。


「こっ、恋人……」


声に出すと恥ずかしさが勝ってしまう。
決して疑っているわけではないのだが、イルミスがライナのことを好きだということが、ライナはまだ全てを受け入れられずにいる。
そうだったらいいなという漠然とした憧れが実際のこととなり、心の準備が追いつかないのだ。

それは何て幸せで贅沢な悩みなのだろうと思いながら、ライナはキノコを詰めて更に大きくなった袋に引きずられるように帰路についた。