「久し振りにライナを見たのが、自分の部下と仲良さそうにしているところでしたから。貴女と部下たちがそこまで親しくなっているとは露にも思わなかったもので。……自意識過剰で恥ずかしい話ですが」
ライナが他の騎士と楽しく話していたことが気に入らないと言われているのだ。その言葉にライナは、頭でも殴られたような強い衝撃を感じた。
「親しい、かどうかは分かりませんが、皆様はよくお花を見に来てくださるのです」
ライナはイルミスの誤解を解きたい一心で、騎士たちが見回りついでに花を見に来てくれる話をした。
「花……なるほど、皮肉なものですね。貴女を守れるようにしていたつもりが、貴女が大事に守っている花に惑わされるとは」
私はまだまだ鍛錬が足りませんね、とイルミスは穏やかに呟いた。
「あの……」
しばらくその優しい顔に見とれていたライナだったが、どうしても確認したいことがありおそるおそる尋ねる。
「そういう風に言われると……まるで、イルミスさんが私のことを、す、好き、みたいに聞こえるのですが……」
勘違いしないためとは言え、自ら〝相手に好意を向けられていると感じる〟と口にすることは恥ずかし過ぎて、ライナは顔から火が出てしまいそうだった。
「好きですよ」
「えっ?!」
挨拶をするようにさらりと告げられて、ライナは体も思考も石のように固まる。そんなライナを見て、イルミスは不思議そうに言った。