「転入生紹介するから静かにしろよ〜」



先生の言葉にざわめいていた教室が静かになる。

ああ、まじか。 アイツが来るのか。



「初めまして! 新田莉衣子です! よろしくね!」



そう言って深々と頭を下げるアイツは夏休みずっと過ごしてきたあの新田だ。

顔を上げると俺と目が合い嬉しそうに頬を緩めて「澪ちゃん」と口が動いた。

俺を澪ちゃんなんて呼ぶのは世界中どこ探してもアイツ一人だろう。



「新田。 席はあの窓際に座ってる福久の隣な」

「はい! わかりました!」



元気よく返事をした新田は嬉しそうにこちらに近づいてくる。 そして俺の隣の席に着くと「よろしくね! 澪ちゃん」と声をかけてきた。

ああ、もう最悪だ。 どうしてこいつがいるんだ。
しかもなんで隣なんだ。

ひとつため息を漏らして新田から目を離す。

こいつは無視しよう。と俺は決心した。