***
長いようで短い夏休みはあっという間に過ぎていき、高校2年の二学期が始まった。
長い長い校長の話を体育館で聞かされ今はさかもっちゃんとくらちゃんとで教室に戻る最中。
話題は夏休み何をしたか、だ。
「俺は家族と海外旅行行ったわ」
「は? なにくらちゃんお金持ち? 海外旅行とかマジ卍」
「金持ちじゃねえよ。 最安値で行ったよ」
「草」
いきなり草がなんだろうと思いながらぼんやりと二人の会話を聞いている。 正直俺は新田との遊園地とこの二人と出かけた以外特に何もしていない。
だが、毎日飽きもせず新田は俺の家に来ていたな。 俺が短期バイト始めたら来なくなったって事は迷惑だときちんとわかってるんだろう。 なんかお利口な犬みたいだ。
「ひっさーはどっか行った?」
「俺は……」
「おいっ、さかもっちゃんど直球だな! ストーレトだな! 変化球投げろ!」
「わ、忘れてた! どうしよ平八郎の乱!」
「本当に困ってるの!?」
野球の話したり大塩平八郎の話をしたりと騒がしいやつらだなと思いながら夏休みのあいだに短期バイトをしたよと言おうと思ったところで教室に着いた。