春人達の試合が始まり観戦をするけどさっきの亜梨沙の言葉が頭を離れない。




多分、ううんきっと松原君が私を見ていたなんてなんかの間違いだ。



そうは思ってもやっぱり一度そういう話を聞いてしまえば考えてしまうもので。




集中しなきゃ、松原君のことなんて考えちゃいけないと何度も言い聞かせた。




そんなやましい気持ちを抱えながらの観戦はあっという間に前半戦終了。




こんなんじゃダメだ、と後半戦は心を切り替えて春人を応援した。




後半中に山中君が春人にボールを素早くパスをして春人はソレを強く蹴った。



ボールはゴールの中に収まり、一点入った。



その点が決め手となりうちの学校は勝利した。







「春人シュートすごくかっこよかったよお疲れ様!」





会場の外に出てサッカー部の集団から春人を見つけ駆け寄った。



「ありがとな」



照れながら笑う春人がなんだか可愛くてこっちまでニヤけてしまう。




本当にあの時の春人の姿はかっこよかった。




帰り道亜梨沙は山中君が送ってくれるらしく私は春人と帰宅した。


二人で今日のことや、他愛のない話をして笑った。






「これ差し入れクッキー焼いたの、渡しそびれちゃってごめんね」



本当はもっと早く渡すつもりだったのにタイミングを逃して結局今になってしまって少し申し訳ない。



「全然いい、ありがとな」



嬉しそうに春人は笑って去っていった。



私はその後ろ姿が見えなくなるまで見送った。