來衣「…はぁっ…」

高校生最初の夏。
地面からもジリジリ暑さが伝わってくる
セミがイキイキとしだす季節。

白蘭高校の屋内プールに
私──日向 來衣(ヒナタ ココロ)はいた。
今日は、日曜日。
部活動部員以外は学校にはいない。

來衣「…タイムのびない、」

別に他に人がいるわけでもなく、
ただ1人でそう呟いた。
特に大会にでるとかそういうわけではないのだけれど、今日はなんだか、タイムを伸ばしたかった。