「七夕……か」

机には1枚のピンク色の短冊。
私はただ呆然と見つめていた。

高校2年の夏、7月5日。 空は透き通るぐらい青い空。
白いベッドの上から短冊と空を見つめていた。

「願いなんてないよ」

夢も希望も青春も。私は全てを奪われた。
だから私は今ここにいる。

一生背負っていく心の傷と腕の傷。

あの日に戻れたらと考えては、あの日に戻れても私はきっと同じ選択をしてしまうのだろう。

深いため息をついて、短冊を引き出しに閉まった。

―ヒラっ

「あ」

落ちてしまった1枚の写真を見つめてまた何度目かのため息をついた。

捨ててしまえば良い写真なのに、どうしても捨てる事ができなかった。
端から2番目でダブルピースをした私。
そして隣にいる。

「きーちゃん」

照れくさそうに笑うその写真を見つめていた。

親友だった、
小さな頃からいつも一緒だった、
いっぱい泣いて、
いっぱい笑った、
私の心友だった。

全て過去形。

目をつぶれば思い出す私の記憶。

忘れてはいけない、記憶達。

忘れてはいけない、私の罪。