恋愛の始め方

「今日は、うちの塚本が迷惑かけたみたいでごめんね」


そう思うなら、ちゃんと指導しろよ。

そう思ったが、口出すことはしない。


「いえ」


あたしの返答は普通の返しのはずなのに、かなが笑みを零す。


「何よ」

「今、絶対思ったでしょ」

「何を」

「謝るくらいなら、ちゃんと指導しろって」


流石、かな。

あたしがかなのことを熟知しているように、かなもあたしのことを熟知しているようだ。


「そんな、そんな。恐れ多くて、そんなこと口に出来ませ~ん」

「まぁ、わからなくもないけどね。塚本の奴、自分が医者だからって、看護師のこと下に見てるし。そのくせ、研修医だ何だって、言い訳並べるし」


そう言えば、あの時も『俺は研修医で』なんて言ってたな。