「それはおばあちゃんの恋?いつもお花の話をする時は、もの知りだね!っておばあちゃんに言うけど、今日のおばあちゃんはちょっと違う。」
「おやおや、そうかい?」
「うん、お花じゃなくて、おばあちゃんの人生のお話をしてるみたい。」
「ふふふ、そうね。あんなにがむしゃらになったのことはなかったもの。私の最後の恋だったわ。とても素敵なね。あの頃は他の色んな女の子と自分を比べては、自信をなくしたり嫉妬したりいじわるをしたくなったりしたし、無駄だとわかっていてもなにかこれは私だけだと思えるものを探したものだけど、今はあの頃の思い出のおかげでとっても穏やかな気持ちなのよ。」
そう話す咲子おばあちゃんの顔はほんの少女のようにかすかに赤く色づいて、千夏は少し幸せな気分になりました。