「そうよ。それで生まれたのが、特別な存在。決してひとりぼっちにならない魔法の言葉なの。多くの人に当てはまる他の言葉と違って、そこにひとつしかない唯一無二の存在で特別と言うのだからね。」
「おばあちゃん、泣いてるの?」
「あらあら、歳取っちゃって。千夏ちゃんに退屈で難しい話をしてしまったかしらね。でも、大丈夫よ。この言葉のおかげで、離れ離れに暮らす今も私はこうしてベニバナを見ると笑顔になれるんですもの。」
咲子おばあちゃんは熱くなる目頭をそっと抑えました。
それからまるで手と手を誰かと繋ぐように組みながら、柔らかい笑顔を千夏に向けました。