確かに昔は漕げなかった愛咲の背中を押していた記憶はあるけど、高校生にもなってそんなことするか?



「はぁ?自分で漕げるだろーが」


「やーだー疲れるもん」



拗ねたようにジタバタと足を動かす。



「ガキの次はババアかよ」


「まだピチピチのJKだし!!
ほら、早く早く!!あとであたしも押してあげるから!」



いや、いらねぇよ。

と、思いながらも仕方ないから愛咲の小さな背中をそっと押す。


……本当にお前には敵わねぇよ。
お前のことになると甘やかしたくなる。


相当、惚れ込んでんな。



「わーい!!風が気持ちいー!!」



嬉しそうに無邪気に声を上げる愛咲。