「こんなくせっ毛な髪の毛、あたしは嫌いだよ」
毛先をクルッと自分の指に
絡ませながらそういった。
朝のヘアーセットが正直めんどくさいし、
あたしは女の子の要素が欠けてる。
メイクするのも面倒臭いって思うし、香水なんかつけなくても柔軟剤で十分だと思うし、髪型も本当はテキトーでいいと思ってる。
でも、一応女の子だし髪型ぐらいはちゃんとしないとね…と思って毎朝、眠たい目を擦りながら鏡とにらめっこ。
ただ、洋服だけはオシャレ。
着てる人がアレだから
可愛く見えないかもしれないけど。
まぁ、全部ママが
デザインした服なんだけどね。
「…お前は嫌いでも、俺は好き」
急に耳に届いた甘い声と
言葉に胸がトクンと高鳴った。
なっ、なに急に…!?
自分の顔が段々熱くなっていくのがわかる。
なんだか恥ずかしくて手で頬を抑えた。
顔を隠したら、隼斗に怪しまれるでしょ?



