「あっ…」



あたし、浮かれすぎて忘れてたよ。
ママは先に空港に行っちゃったし……



「まぁ、そんなの俺が許さねぇけどな」


「んんっ…」



そういって笑うと彼はまた薄っぺらい唇をあたしの唇に重ねた。


どんどん深くなるこのキスに溺れてしまいそう……。


頭がクラクラしてきて体が甘く痺れる。


だけど、あたし本当にどうしよう!!
そう思ったあたしは反射的に隼斗の胸元を押し、体を離した。



「あ?なんだよ。いい感じだったのに…」



不貞腐れて拗ねている隼斗もなんだか可愛いな……


なんて、そんなこと思っているのは絶対内緒。


だってそんなこと言ったら確実に殺されちゃうよ。



「アメリカ…」


「だからさっきから行くなっつってるだろ?」


「でも…」


「はぁー…お前は黙って俺のそばにいろ」



命令口調でうっとうしいはずのに…
この人の言葉はなんでこんなに安心できるのかな?



───…それはきっと、隼斗だから。