「お世話になりました…」
なんか名残惜しい気もするけど……仕方ないよね。
あたしはゴロゴロと音を立てながらキャリーケースを引いて隼斗の家の前に向かう。
たった、数歩の距離。
時間にすれば、秒で着く。
見上げてみると、やっぱり大きくて…
「相変わらずおっきいなぁー…」
その隣のお家は雪ちゃんの大きなお家。
まぁ、今じゃ別荘みたいなもんらしいけど。
家の大きさまでお似合いじゃん。
自分で思っておきながら辛くなる。
ダメだよ……もう思い出にするでしょ?
「……大好きだったよ…ぐすっ…うぅ…」
堪えていた涙が頬を伝って
ポタポタとアスファルトに丸いシミをつくる。