忘れようとすればするほど、


愛咲の優しく微笑む顔…怒る姿…全てが鮮明に思い出されて忘れるどころかもっと想いが強くなったんだ。



街を行く人たちが俺のことを
チラチラと盗み見てはヒソヒソと話す。


普段の俺なら思い切り
睨み返すけど今はそんな場合じゃない。


どうして勝手に
どこかに行こうとするんだよ…っ。


スーツだと正直、走りにくい。


でも、会場から
愛咲の家まではそう遠くはない。



一秒でも早く会いたい……

好きだといいたい…


たとえ、それが叶わなくても…
キミをこの腕で抱きしめたい。


だから…間に合ってくれ…。


俺はやっぱり、お前のことを手放したくないんだ。