……は?
アメリカだと?
「はやく、行きなさい。
あんたには愛咲ちゃんしかいないんでしょ?」
母さんは少し呆れたように、
でも嬉しそうに笑いながらそういった。
「でも…母さんたちの夢は…」
母さんたちはずっとこの日を楽しみにしていたんだ。
これが俺の精一杯の親孝行のつもりだった。
「あのね、私たちの夢なんて隼斗が幸せになることに決まってるでしょ?
無理やり結婚してもらっても全然嬉しくないわ。
それに、愛咲ちゃんみたいに
あんないい子を逃したら一生後悔するわよ」
母さんは俺を出口に連れてくると、
ポンッと背中を押した。
「後のことは私に任せておきなさい」
そういうと、自分の胸をポンッと得意気に叩いた。